夜勤の夜食は避けたいところだけど……。

 ――夜食はさけて、胃の中を空にして朝を迎える。

 

 これが食事の理想であるといえますが、世の中、残業や夜勤などで、不規則な生活を余儀なくされている方も数多くいらっしゃるとおもいます。

 

 そういった方々は深夜2時3時でも何らかの活動している場合が多く、どうしてもお腹が空いてしまい、一般的な食事制限などは難しい状況にあるのではないでしょうか。

 

 本来寝て体を休めている時刻に、働いているのですから、体力や精神的ストレスも負担が大きいと考えられます。

 

 ストレスは相当なはずで、過剰なストレスは体の免疫力を低下させ、病気の源となってしまいます。 ですが、肥満を気にして食事を摂らないで仕事に支障をきたしては、本末転倒といったところでしょう。


※ 「平成 23 年度 山口産業保健推進センター産業保健調査研究 交替勤務者の食事栄養評価と夜食の在り方 についての研究」より

http://www.yamaguchis.johas.go.jp/m0500/h23/23y-chousakenkyuu.pdf

 

 では、深夜勤務労働者は「肥満、糖尿病、高血圧、脂質代謝異常、メタボリック症候群のリスクを高めるという研究報告がある。」と記されています。

 様々なサービスを提供する現代社会では深夜労働者の存在は必要不可欠ですが、労働の過酷や給与の安さなどから、残念ながら万全な態勢が取られているとはいえない状況にあるようです。

 深夜に働くということを今一度見つめ直し、自分たちで食生活を改善していく必要があるように感じます。 

 

「深夜シフト勤務では、家庭での準備でなく食品購入で勤務中の食事を用意し、深夜シフト勤務労働者は加工食品を利用する人が多かった。健康的な食生活を推進するために、シフト勤務中の食事を用意するための支援を事業所が行う必要があるかもしれない」(上記調査研究より)

 

 シフト勤務では日中帯では休んでいる方が多く、家庭で準備をするというのは難しい状況にあると思われます。

 そうなるとコンビニや深夜スーパーなどの食品を購入することになりますが、日中帯と夜間帯では人の体の活動は異なります。

 どういったものを購入するべきかを選ぶ必要があります。


 ただ、コンビニや深夜スーパーのものはカロリーや値段が気になってしまいます。

 選ぶなら、きちんと栄養バランスが考えられた食事をしたいですよね。


1 基本的に夜、体は休みたがっている

 朝や昼の活動時間帯は交感神経が働いておりますが、夜になると体を休ませようと副交感神経が働き、エネルギーを吸収して体内に脂肪となって蓄えようとします。消化吸収力は2倍から3倍にも上がる半面、胃の活動もゆっくりとなるので消化も悪くなります。

 

 胃の中のモノを消化するには最低でも4時間ほど掛かると言われていますが、ゆっくりとはいっても消化の活動させられているので、ここに消化の悪い食べ物が入ると胃が休めません。夜になって食べ物を食べて寝てしまい、朝に胃もたれを起こして疲れた感じになるのも、胃が活動しているために休めていない状態に加えて、胃の中に未消化のものが残っているからです。

 

 私たちは子どもの頃から12時~13時に昼食を摂るという生活を過ごしてきました。

 

 1日を過ごす決まったリズムをサーカディアンリズムと呼びます。

 

 夜勤明けなど特に、通常のサーカディアンリズムに無理して合わせる必要はなく、必要な時に食事を摂るようリセットしていくことが大切です。


2 ビタミン、ミネラル、食物繊維は脂肪につながりにくい

 体に不可欠な摂取すべき栄養素として、「糖質、脂質、タンパク質、ミネラル、ビタミン、食物繊維」の六大栄養素と呼ばれるものがあります。

 

 そのうち糖質、脂質、タンパク質は生命活動を維持するために必要な栄養素ですが、過剰に摂取すると体脂肪に蓄えられる性質があります。

 

 ビタミン、ミネラル、食物繊維は体内で合成できない栄養素で外から取り入れて「糖質、脂質、タンパク質」の活動を活発にさせるものです。

 これら「ビタミン、ミネラル、食物繊維」の3つは肥満に直接つながりません。

 

 一般的に夕食はエネルギー減となる糖質・脂質は少なめにして吸収がよく肥満につながりにくいビタミン・ミネラル・食物繊維や組織成分になるタンパク質を中心にし、早めの時間にすませると良いと言われています。

 

「たんぱく質てどれくらい摂取したら良いの」のプロテインを摂るタイミングのページで「就寝2時間前も効果がある」と書きましたが、体を修復させるにはたんぱく質は欠かせない栄養素になります。

 

 夜勤で不規則な生活をしている方は一層、夜勤時の休憩や夜勤明けの食事として、これらの栄養素を中心とした食事を組み立てていくことを意識していくが必要ではないかと思われます。

野菜はビタミン、ミネラルの宝庫です。微毒が免疫力高めるとか。サプリメントだけでは得られないものがあります。
野菜はビタミン、ミネラルの宝庫。微毒が免疫力高めるだとか。サプリメントだけでは得られないものがあります。


3 血糖値を上げさせない食べ方 

 血糖値は食品に含まれる糖質の比率が多いほど上昇しやすい傾向にあります。

 

 パン、ご飯、お菓子類や砂糖が多くくわえられている飲料水などが血糖値が上がりやすいといえます。

 

 これらの食品を摂る際、繊維質やタンパク質などを先に摂ると糖分の吸収が遅くなり、血糖値が上がりにくくなります。

 

 食べる順序を変えることで血糖値の上昇を抑えることができます。一般的には

 

 繊維質→脂質→タンパク質→糖質

 

といった順序です。つまり、糖質より先に食べ物を胃に入れて壁をつくることが血糖値の上昇を抑えることができる方法です。

 

 抑えるとはいっても糖も体には活動には大事な栄養素です。

 

 まったく摂らないといったように過剰に抑えすぎては意味がありませんが、食べ方についても気を付ける必要があります。


4 夜勤に適しているとされる食事の仕方は

 業種によりますが、夜勤では数時間の仮眠をする場合があります。 

 

 せっかくの休憩時間。カップ麺やカップスープ、コンビニ弁当などは手軽で満足感もあるのでこういったものを口にしたいところですが、睡眠中は消化機能が低下します。仮眠前に胃に負担のかかる食事をしていては、ストレスや肥満の原因ともなってしまいます。仮眠前に食べるのではなく、再び活動を始める仮眠後に食べることをおススメします。

 

 カップ麺を食べていいの? と疑問に思う方もいると思いますが、夜勤という不規則な生活。自宅ではありませんから、食材の管理も自宅ほど十分にはできません。その中で持ち運びに便利であり、長持ちや満足感を得るという点でカップラーメンというものは無視できません。

 

 ただ、より良い睡眠をするためには、仮眠前に食べることは避けた方が良いでしょう。

 

 それでも仮眠前に何か口にしたいのなら、パンやおにぎりなどの固形物よりも、温かいお粥やお味噌汁といった消化のよい流動系の食事、ビタミンやミネラルが含まれた野菜ジュースやたんぱく質の多い牛乳やヨーグルトをおススメします。

 どうしても一口甘いものが欲しい! と考えてしまう方は、低脂肪で植物性たんぱく質が豊富な饅頭がよいでしょう。

 

 お粥は糖質ではありますが、

 

 ごはん1杯150gで252kcal

 

に対して

 

 五分粥どんぶり1杯200gで72kcal

 

とされています。(女子栄養大学出版部「食品の栄養とカロリー事典」より)

 

 カロリーもごはんに比べれば少なく、流動食だから消化も早い。わずかな噛み応えや糖質によって満足感も得られます。

食べるタイミングが……!
食べるタイミングが……!


5 夜勤明けも食事に気をつけたい

 いかに夜食に気を使っていても、仕事からの解放感からドカ食いやお酒に浸っていては、無駄になるどころか病気に繋がってしまいます。

 

 生活リズムも一般人とは異なるので、夜勤明けに合わせた食事の仕方が必要となります。

 

 人は胃の中のものを消化するのに最低でも4時間以上は必要とされています。食べてから眠るまでに6時間空ける方が良いとも言われています。

 

 例えば深夜3時頃に活動前の夜食をとり、仕事が終わったのが朝9時とします。

 

 6時間も経っていて胃の中が空になっているから、ここで食事を摂るのは当然ですが、ここから12時に食事をしても3時間ほどしか経っていないので、まだ未消化のものが残っていることとなります。どこかで仮眠することを考慮すれば、睡眠中は消化機能が低下していますから、消化に時間がかかる上に、胃にも負担をかけてしまいます。

 

 無理に世間に合わせて3食摂ろうとせずに、人の体の傾向を意識しながらライフスタイルに合わせた食事の仕方が大事となります。


終わりに

「家庭で用意するよりも購入する方が多かった」と上記調査研究にもあるように、疲労した心と体では事前に準備というのは大変な労力が負担となるため、勤務にあたる場合、すでに出来上がったものから食品を選ぶことが多いと思われます。

 

 メタボになりやすい不規則な勤務だからこそ、健康な生活や体の維持に意識して食選びに努めていきましょう!